「まっすぐな音、そしてポストフリージャズへの一つの解答」
泉邦宏という地方にある泉邦宏という村に住んでいる泉邦宏という原住民たちの演奏している民族音楽
5/23(木)名古屋 夜空に星のあるように tel:052-654-5595
open 18:30 start19:30 前売 2,000円 当日2,500円+ drink
泉邦宏(sax.etc) with 臼井康浩 (g)
泉 邦宏
いずみ くにひろ
(sax)
「まっすぐな音、そしてポストフリージャズへの一つの解答」
泉邦宏さんのサイト:きたから通信ー泉邦宏
泉邦宏さんの魅力はどこにあるか?まずsaxの音色が良い。まっすぐでゴマカシがない。一度聞くと他のsax吹きと 区別がつく。
ジャズを演奏しようとするミュージシャンが陥りやすい罠に、先人の偉業を大事にするあまり音楽としてのエネル ギーが削がれてしまうということがよくあると思う。またそういった演奏を好むジャズファンが多いのも事実だ。い わく「2コーラス目のあそこで誰それのフレーズを吹いていた」等。物真似のうまいことが良いことだった。泉さん は、聞いたとたんに泉さんだ。誰それに似ていると思う前に圧倒的な音量と音色にやられてしまう。「今ここで俺は 生きている!!」という思いを、音で叩きつけられる。いわゆるバップのフレーズは吹かないからジャズとしては間 違っているかもしれない。しかしたぶん「音楽」としては正解なのだ。何よりもドキドキさせてくれる。手垢のつい たツーファイブのフレーズは吹かないかわりに、「今」の「泉邦宏」を吹いてくれる。すばらしい事だと思う。
また独自の音楽観がある。昨年発売した自宅で多重録音したCD「馬鹿が牛車でやってくる」は泉さんの弁によると 「泉邦宏という地方にある泉邦宏という村に住んでいる泉邦宏という原住民たちの演奏している民族音楽」なんだそ うだ。また「みんなが自分ひとりひとりの民族音楽を演奏するようになればいいのに」とも発言している。1960 年以降に、それまでのフリージャズへの一つの解答としてポストフリージャズという運動があった。その中で「アー トアンサンブルオブシカゴ」やドンチェリーが民族音楽を基礎に置いた視線から、もう一度ジャズを再構築していっ た。現在、泉さんがやろうとしているのは、さらにその先のことのように感じられる。つまりポスト・ポストフリー ジャズだ。今回はなんと自分自身が民族音楽となってしまう事でジャズやフリージャズという音楽の垣根を飛び越え 自分のやっている事を正当化してしまうという画期的な方法だ。確かにあの音が間違っていると言っても、うちの地 方ではこうですからと言ってしまえば良いのだ。米をサラダにしていても、よその国の風習なら納得するしかない。 それを間違いと決めつけるのは傲慢以外の何ものではない。そこにはあるのはただ好きか嫌いかの判断だけだ。
そして何よりもそれらを支えているのは「音楽」を愛し、真剣に取り組んでいる姿勢だ。この3年半ほど毎月その 演奏に接しているが、そのあいだにもずいぶんと変化しているように思う。まだ泉さんの音楽に触れていない人や、 以前観て分かったような気がしている人はぜひ一度観に来てください。自信を持ってお勧めで きる「今」のそしてこれからのミュージシャンです。
(なってるハウス店長:広沢)